瞑想・坐禅の基本
坐禅のやり方|はじめてでも迷わない手順・足の組み方・呼吸のコツ
「坐禅をやってみたいけれど、何から始めればいいのかわからない」。そんな方に向けて、坐禅の基本的なやり方を、座る前の準備から終わり方まで順番にまとめました。
最初に大事なことをひとつ。坐禅の作法は、宗派やお寺によって少しずつちがいます。 お寺で坐禅をするときは、その日のご住職や指導の方のやり方がいちばんです。この記事は「知っておくと当日あわてない基本」として読んでください。
坐禅とは?ひとことで言うと
坐禅は、姿勢を整え、呼吸を整え、心を整える禅の修行です。よく「調身(ちょうしん)・調息(ちょうそく)・調心(ちょうしん)」と表されます。
- 調身:体の姿勢を整える
- 調息:呼吸を整える
- 調心:心を整える
この3つは別々のものではなく、姿勢が整うと呼吸が落ち着き、呼吸が落ち着くと心も静まっていく、というつながりがあります。だからこそ、はじめての方はまず姿勢から入るのが近道です。
坐禅の前に準備すること
服装
足を組むので、ゆったりしたパンツがいちばん楽です。ぴったりしたジーンズや短めのスカートは、座ると窮屈になりがちです。お寺の本堂では靴を脱ぐことが多いので、靴下をはいていくと安心です。くわしくはお寺で坐禅をするときの服装と持ちものにまとめています。
時間とタイミング
満腹のときや空腹すぎるときは集中しにくくなります。食後すぐは避け、少し時間をあけると座りやすくなります。
座る場所
お寺では、坐蒲(ざふ)という丸いクッションを使うことが多いです。家で試すなら、二つ折りにした座布団やクッションで代わりになります。
坐禅のやり方:7つの手順
1. 坐蒲に浅く腰をおろす
坐蒲の上に、お尻を半分くらいのせます。深く座りすぎず、浅めに腰かけると骨盤が立ち、背すじが自然にのびます。
2. 足を組む
代表的な組み方は2つです。
| 組み方 | やり方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 結跏趺坐(けっかふざ) | 右足を左ももの上に、左足を右ももの上にのせる | 体がやわらかく、慣れている人 |
| 半跏趺坐(はんかふざ) | 片方の足だけを、反対側のももの上にのせる | はじめての人、体がかたい人 |
はじめてなら半跏趺坐で十分です。それもつらいときは、あぐらや正座、お寺によっては椅子を使わせてもらえることもあります。無理に足を組むより、背すじがのびていることのほうが大切です。
両ひざと、お尻の3点で体を支えるイメージを持つと、姿勢が安定します。
3. 手を組む(法界定印)
右手のひらを上にしておなかの前に置き、その上に左手のひらを重ねます。両手の親指の先を軽く合わせて、楕円の形をつくります。これを法界定印(ほっかいじょういん)といいます。
親指は、くっつけすぎず離しすぎず、「紙1枚をはさむくらい」が目安です。手はおへその下あたりに、力を抜いて置きます。
4. 姿勢を整える
- 背すじをまっすぐのばし、頭のてっぺんで天井を押すような気持ちで
- あごを軽く引く
- 肩の力を抜く
- 体を左右に数回ゆらし、だんだん揺れを小さくして、まっすぐの位置で止める
この「左右にゆらして中心を探す」動きを、左右揺振(さゆうようしん)といいます。
5. 目線を落とす(半眼)
目は閉じずに、半分くらい開けた状態(半眼)にします。目線は、1メートルほど先の床に、斜め45度くらいで落とします。目を閉じると眠くなったり、考えごとに引き込まれやすくなったりするため、半眼が基本とされています。
6. 呼吸を整える
最初に、口から大きく息を吐ききる「欠気一息(かんきいっそく)」を一度行います。そのあとは口を閉じ、鼻でゆっくり呼吸します。
呼吸は無理にコントロールしなくてかまいません。吐く息を少し長めにする意識を持つと、自然と落ち着いてきます。呼吸に集中しやすくする方法として、吐く息を数える「数息観(すそくかん)」があります。くわしくは数息観のやり方をどうぞ。
7. 終わるとき
坐禅が終わったら、すぐに立ち上がらず、まず体を左右にゆっくりゆらして体をほぐします。足がしびれていることも多いので、足をほどいてから、ゆっくり立ち上がりましょう。
坐禅中に起きやすいことと、その対処
雑念が次々に浮かぶ
ほとんどの人がそうです。雑念が出ることは失敗ではありません。 浮かんだ考えを追いかけず、「考えていたな」と気づいたら、また呼吸に戻る。その繰り返しが坐禅です。
足が痛い・しびれる
はじめは誰でも足が痛くなります。がまんしすぎず、お寺の坐禅会なら、周りの迷惑にならないよう静かに足を組みかえてかまいません。組みかえるときは、その前後に合掌するのが丁寧です。
眠くなる
目を閉じていないか、姿勢がくずれていないかを確認しましょう。背すじをのばし直すだけで、眠気がやわらぐことがあります。
曹洞宗と臨済宗で、坐禅はどうちがう?
日本の禅宗には、おもに曹洞宗・臨済宗・黄檗宗があります。坐禅の基本は共通していますが、たとえば次のようなちがいがあります。
| 曹洞宗 | 臨済宗 | |
|---|---|---|
| 座る向き | 壁に向かって座る(面壁) | 壁を背にして、内側を向いて座る |
| 坐禅の考え方 | ただひたすら座る「只管打坐(しかんたざ)」 | 公案(禅問答)に取り組む「看話禅(かんなぜん)」 |
| 警策の読み方 | きょうさく | けいさく |
お寺によって細かい作法はさらに変わります。だからこそ、当日のご指導に合わせるのがいちばんです。
家でひとりで坐禅をするときのコツ
- 最初は5分から。タイマーをかけると、時間を気にせず座れます
- 朝起きてすぐなど、毎日同じ時間に座ると習慣になりやすい
- スマホは別の部屋に置くか、通知を切る
- 窓を少し開けて、外の音を感じながら座るのもおすすめ
ただ、家だとどうしても気が散りやすいもの。一度お寺で、ご住職の指導のもとで座ってみると、姿勢や呼吸の感覚がぐっとつかみやすくなります。
よくある質問
坐禅は何分くらい座ればいいですか?
お寺の坐禅会では、20〜40分ほど座ることが多いです。家で始めるなら5分からで十分です。慣れてきたら少しずつのばしていきましょう。
足が組めなくても坐禅はできますか?
できます。半跏趺坐やあぐら、正座でもかまいません。お寺によっては椅子での参加を受け入れているところもあるので、事前に相談してみてください。
坐禅と瞑想は同じものですか?
どちらも心を静める実践ですが、坐禅は禅の修行として受け継がれてきたものです。くわしくは坐禅と瞑想のちがいで解説しています。
はじめてでもお寺の坐禅会に参加していいですか?
もちろん大丈夫です。多くの坐禅会は、はじめての方に向けて座り方の説明から始めてくれます。
まとめ
坐禅のやり方は、①浅く座る ②足を組む ③手を組む ④姿勢を整える ⑤半眼 ⑥呼吸 ⑦ゆっくり終わる、の7つが基本です。完璧にできなくても大丈夫。まずは座ってみること、そして雑念に気づいたら呼吸に戻ること。それだけで、坐禅はもう始まっています。
はじめてお寺に行く前は、はじめてガイドにも目を通しておくと安心です。