宗派と用語

止観(しかん)とは?天台宗に伝わる瞑想の意味と、はじめての坐り方

天台宗のお寺で瞑想を体験しようとすると、「止観(しかん)」という言葉に出会うことがあります。坐禅とはちがうの?どんな意味?

この記事では、止観の意味と、はじめて体験するときに知っておきたい基本を紹介します。作法はお寺によってちがうので、実際には当日のご指導に従ってください。

止観とは

止観は、天台宗に伝わる瞑想の実践です。中国の天台大師・智顗(ちぎ)が体系的にまとめ、日本には最澄(伝教大師)によって伝えられました。

「止観」は、ふたつの言葉からできています。

  • 止(し):あちこちに散らばる心を一つに集め、静めること
  • 観(かん):静まった心で、物事をありのままに見つめること

止だけでも、観だけでもなく、静める力と、見つめる力の両方を育てるのが止観です。鳥の両方の翼、車の両輪にたとえられることもあります。

止観を伝える書物

止観について書かれた代表的な書物に、次のものがあります。

書名 内容
摩訶止観(まかしかん) 智顗の講義をまとめた、止観の大きな体系
天台小止観(てんだいしょうしかん) 坐禅の具体的な方法をまとめた入門書。坐禅の手引きとして広く読まれてきた

坐る前に整える5つのこと(調五事)

『天台小止観』には、坐る前後に整えるべきこととして、次の5つが挙げられています。「調五事(ちょうごじ)」と呼ばれます。

  1. 調食(ちょうじき):食べすぎず、少なすぎず
  2. 調眠(ちょうみん):眠りすぎず、少なすぎず
  3. 調身(ちょうしん):姿勢を整える
  4. 調息(ちょうそく):呼吸を整える
  5. 調心(ちょうしん):心を整える

食事と睡眠から整える、というのは、いまの私たちにとっても身近なヒントです。瞑想中の眠気については瞑想中に眠くなるときにもまとめています。

はじめての止観の坐り方(基本)

お寺で教わる内容はさまざまですが、基本は坐禅と共通する部分が多いです。

  1. 座布団や坐蒲に浅く座り、足を組む(無理のない組み方で大丈夫)
  2. 手を組み、おなかの前に置く
  3. 背すじをのばし、あごを軽く引く
  4. 目は半分ほど開け、目線を落とす
  5. 鼻でゆっくり呼吸し、吐く息を数えるなどして心を静める

座り方の細かいポイントは坐禅のやり方、呼吸を数える方法は数息観のやり方を参考にしてください。

止観と坐禅のちがい

「坐禅」は、広い意味では座って行う瞑想全般を指すこともあります。天台宗のお寺では、止観を実践する坐禅を「止観」や「坐禅止観」と呼ぶことがあります。

止観(天台宗) 坐禅(禅宗)
背景 天台大師智顗がまとめた実践 曹洞宗・臨済宗・黄檗宗に伝わる修行
考え方 心を静める「止」と、見つめる「観」の両方を育てる 只管打坐(ただ座る)や公案など
入門書 天台小止観 普勧坐禅儀(曹洞宗)など

よくある質問

止観は天台宗の信者でなくても体験できますか?

体験会を開いているお寺の多くは、宗派や信仰に関係なく参加を受け付けています。参加しても、入信をすすめられることは通常ありません。

止観と瞑想は同じですか?

止観は、天台宗に伝わる瞑想の実践です。広い意味での瞑想に含まれますが、「止」と「観」という独自の考え方があります。

「止観」と「只管打坐」は関係がありますか?

どちらも座る実践ですが、伝わる宗派も考え方もちがいます。只管打坐は曹洞宗で大切にされる「ただひたすら座る」坐禅です。

はじめてでも、ついていけますか?

止観の体験会は、はじめての方向けに座り方から説明してくれるところがほとんどです。安心して参加してください。

まとめ

止観は、心を静める「止」と、ありのままに見つめる「観」を両輪とする、天台宗の瞑想です。食事や睡眠から整える「調五事」の考え方は、日々の暮らしにも生かせます。天台宗のお寺で、ぜひ一度体験してみてください。